易学は、中国の「五経」のうちの一つ。自然は「陰」と「陽」からできており、陰陽の組み合わせで世界がつくられているという思想から、個人の未来や世界がどのように変わっていくのかを読み取る占いです。
易学というと、細長い棒をジャラジャラとすり合わせて1本選び取り、占ってくれるという姿をイメージする方も多いのではないでしょうか?これは「占筮(せんぜい)」と呼ばれ、易学の中でも一番メジャーな占法です。
易は「変化」を意味する言葉だといわれています。古来の人々は、道具を使って変化する未来を読み取ろうとしました。ここでは、易学で占うときに使うグッズをご紹介します。
竹でできた50本の棒で、卦を立てるために使われます。もともとは「蓍(めどぎ)」と呼ばれ、草の茎を用いていたそうです。のちに竹でつくるようになったので、筮竹と呼ばれるようになりました。
正方形の板に、八卦や陰陽を記したものです。筮竹で出た数を八卦に当てはめることで、占いの結果を示してくれます。
右手で取り分けた筮竹を、載せておくための台です。
筮竹を立てかけておくために使う、木製の筒です。
占う方法はいくつかありますが、今回は初心者でもすぐできる「略筮法(りゃくぎほう)」の手順をご紹介します。
7で得た象数を算木に写して「上卦」とします。この手順をもう一度行って「下卦」を出してください。これで「大成卦」が得られます。
すべての手順を終えたら、大成卦と爻位を算木に写して、占いの結果を読み解いてみましょう。
筮竹を持っていなくても、サイコロやコインなど、奇数や裏表があるものを使って占うことも可能です。正式な道具を使うことにこだわる必要はありません。易学に対して誠実な態度で臨み、正しい解釈をするのが大切なのです。
中国で生まれた易学は、約4000年前に完成したと言われています。しかし、易の概念は、紀元前12世紀頃にはすでに確立されていました。殷(いん)王朝の時代に、亀の甲羅を焼いてできたヒビを見て吉凶を占ったのが易学の始まりです。その後、亀の甲羅が手に入りにくくなったこともあり、筮竹(ぜいちく)と呼ばれる長い竹の棒を使った方法が編み出されました。今では、筮竹から出る数で占う方法が主流です。
易学は、日常生活だけではなく戦争や政治においても重視され、個人から国家に至るまで大きな影響を与えてきました。古来は、神の意志を知る目的で易占いが用いられてきましたが、時代を経るにつれ、人間の判断を補助する目的へと変化しています。
易学は、未来の自分に送られたメッセージを読み取る占い。あくまでも決定権は本人にあるという考え方が根底にあります。そのため、金運や恋愛運といった特定の運勢を見て「こうしなさい」と指示することはありません。
易学では、偶然起こったように見える出来事も、潜在意識によって無自覚に導かれると考えられています。心理学者のユングは、易学に触れて「意味のある偶然の一致(シンクロニシティ)」という考えにたどり着きました。将来に不安があるときこそ、自分の潜在意識が何を求めているのかを理解し、自分自身の行動や思考を変えるべきなのです。
易学には「初筮(しょぜい)は告ぐ。再三は涜(けが)る。涜(けが)るれば告げず」という戒めがあります。結果が気に入らないからといって何度も占っては、答えが乱れてしまうという意味です。自分に都合のよい答えだけを受け入れようとすると、天から見放され、正しい結果を見ることができなくなるのです。
しかし、悪い結果が出ても悲観してはいけません。人生の岐路に立たされたときには、良い出来事であれ悪い出来事であれ、自力で乗り越える必要があります。充実した人生を送るために、天からほんの少しアドバイスをもらうだけに留め、自分の生きる道を自らの手で切り開くために行動することが大切なのです。
易学は心に寄り添ってくれる占い
独占欲の強い彼にうんざりして、別れました。その後もしつこく付きまとわれてとても怖かったので、易者さんに相談することにしたんです。易学を選んだのは「偶然は自分の潜在意識に引き寄せられる」という考えに共感したから。
易を見てもらうと、今は「陰」の時期にいて、彼とのことも一つの試練なのだと言われました。その後、60代まで「陰」の時期が続くと言われてショックでしたが、一緒に乗り越えようと言ってくれたのが嬉しかったですね。お話を聞いてもらい、私の悩みに真摯に向き合ってくださったので、胸の内にわだかまっていたものが無くなって、心がスッキリしました。